April 28, 2025 → May 7, 2025
泉たちが出演するラジオは、新番組の名目だが実際は他のアイドルを降板させ内容を刷新するものだった。自分たちの出演の裏で降ろされる誰かがいると知り、ショックを受ける七海と泉。一方マキノは、持ち前の調査力で前任アイドル・いさなのことを既に調査済みだと明かす。その情報を前にして、3人は決意する。
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泉
えっと、P……それ、細かく説明してもらってもいいかな。
プロデューサー
まず、君たちがオファーされた番組は、
表向きは番組名と出演者を一新したもの。
プロデューサー
けど、旧番組のアイドルを降ろす必要があったから、
邪推をされてしまわないように区切りをつけただけなんだ。
本当は……出演者を入れ替えただけの、同一番組。
マキノ
つまり……私たちを使うために、
そのアイドルが降ろされた、ということね。
プロデューサー
……平たく言うと、そうなる。
数字の低下に伴ったテコ入れらしい。
この業界じゃよくあること、ではあるけど……。
七海
ががーん……七海たちのお仕事が……
その人を、悲しませちゃってるのれすか……?
泉
そんなのって……。
マキノ
……私たちがこうなってしまうから、黙ってくれていたのね。
プロデューサー
……自分も状況を知らされたのは、オファーを受けた後だった。
すり合わせのときに、ぽろっと出てきてね……
だから、ちょっと声を荒げてしまって……。
泉
あのときの電話……。
Pは、それをずっと、ひとりで……。
プロデューサー
……いや、言い訳にしかならないよ。責任は自分にある。
隠していたことも……悲しませてしまったことも、
申し訳ないと思ってる。
七海
……プロデューサーのせいじゃないのれす。
七海もプロデューサーをスパイしたときから、
知る覚悟は決めてましたし。
プロデューサー
えっ、スパイ?
マキノ
ともかく……状況はわかったのだし、いったん整理しましょう。
貴方も少し休んでちょうだい。
抱え込んでいたことに違いはないのだから。
[……ありがとう]
ほたる
やっぱり、理由があったんですね。
七海さん、元気出して……。
七海
大丈夫れすよ……考えてるだけれす。
潜るって決めたのは、七海れすから。
七海
はっ……こんな夢、いつか見た気がします。
海のなかをスイスイ泳いで、
くらーいところまで潜れちゃう夢……。
泉
この間の……?
……やっぱり、夢は夢のままにしたほうがよかったのかな。
七海
ううん、違うのれす。
そのまんまらと溺れちゃって。
目が覚めても、スイスイの泳ぎ方は忘れちゃいました。
七海
れも、それでよかったんれす。
途中をすっ飛ばしていきなりできるようになっちゃったら、
七海は七海のこと、大きな人って誇れないから……!
ほたる
現実から目を逸らすなんて……できませんもんね。
眩さからも、暗がりからも。
泉
……そっか、そうだった。
見ないふりなんて……諦めと同じ。
いちばん、嫌だよね。
ちとせ
密会、聞いちゃった。
そろそろ、魔法の準備は整ったんじゃない?
マキノ
……かける側は慣れていないのだけど。
確かに、ここが潮目ね。
ちとせ
へぇ……このアイドルさんが、例の?
マキノ
深沢いさな、19歳。
品行方正で、これといったスキャンダルも特にはない。
どの分野も平均以上……。
マキノ
デビューは学校の同級生と一緒に、14歳のとき。
いまはソロ活動中で、固定ファンはいるけれど、
鳴かず飛ばずといったところ。
ちとせ
お友だちはほかの子とユニットを組んで躍進中……。
この子は、選ばれなかっただけなんだ。
マキノ
……残酷な言い方ね。
マキノ
でも、世の中はどうあがこうと数字がすべて。
夢や希望は結局は幻想でしかなく、
現実を知れば簡単に泡となって消えてしまう。
ちとせ
現実的だね。
アイドルらしくない。
マキノ
それは貴方もでしょう。
夢と現実の狭間にいるようでいて、誰よりも現実を見ている人。
ちとせ
あはっ♪でもね、魔法も信じているよ。
マキノちゃんはどうかな。
存在すると思う?
マキノ
不確定で、非科学的……決して証明はできないものね。
けれど……。
マキノ
貴方は、私たちは……何かを『魔法』と称してしまう。
そんなもの、存在しないとわかっていながら。
マキノ
度し難い生き物よ、本当に。
マキノ
……そんなわけで、彼女の情報は入手済みよ。
直接話を聞くこともできるけれど、どうする?
七海
マ……マ……!
泉
マキノさん……!?
い、いつの間に……!?
七海
あ、もしかして!
七海と一緒に寝てたのって……!
マキノ
……少し夜更かししてしまっただけよ。
ほんの少しね。
マキノ
プロデューサーのことは、無論信頼しているわ。
けれど、「知りたい」気持ちが勝ってしまった。
結局誰にも止められないのよ。
マキノ
ふたりもそうでしょう?
泉だって、上の空だったときがあったものね。
泉
あ……はは、バレてた?
変なプログラム組んでたのは……うん、そういうこと……。
七海
なんだ~っ、スパイは七海だけじゃなかったんれすね~!
やっぱり『ファタ・モルガーナ』はこうでなくちゃ~♪
泉
じゃあ、さっそく話を聞きに……
ほたる
ちょ、ちょっと待ってください!?
さすがにみなさんだけで行くのは……。
プロデューサーさんに相談してからがいいかなって……!
泉
あ、そっか。
ちとせ
ふふっ、みんな必死なんだから。
ほら、いっておいで。
七海
ふたりとも、ありがとなのれす~!
マキノ
……本当、世話焼きなのね。
ほたる
はぁ……まとまったみたいで、よかった……。
ちとせ
ほたるちゃんもお疲れさま。
ちいさな人魚の背中、押してあげたんでしょ?
ほたる
そ、そんな大層なことはしてません……。
私は……自分の経験を、少し話しただけで……。
ほたる
3人とも、とっても素敵な人たちだから。
こんな些細なことで崩れることはないって、思ってましたけど……
やっぱり、その通りでしたね。
ちとせ
そうだね。
あの子たちは繊細で、それでいて物事を俯瞰して見られる。
ちとせ
そういう『瞳』ごしに魔法をかけられる……
魔女たちだから♪