April 28, 2025 → May 7, 2025
やっぱりPにだけ秘密を背負っていてほしくはない。悩んだ末にそう考えた七海は、Pが隠している事情を知るために尾行を始める。そんな彼女の姿に、やがて考えを改める泉。知らない方がいいことであっても、知ってこそ前に進めるはず。彼女の決意を聞かされたPは、出演する予定の番組の裏事情を泉たちに語る。
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七海
ざざーん…………。
ほたる
あ、七海さん……七海さん?
大丈夫ですか……?
七海
ほたるちゃん?
大丈夫れすよ?どうかしたんれすか?
ほたる
えっと、七海さんのそんな顔……珍しくて。
七海
はっ……気づかないうちにフグになってたのれす。
ぷくーっ。
ほたる
フグ……。
やっぱり、何かあったんじゃ……。
七海
……ここだけの話れすよ?
じつは、かくかくしかじかれ~……。
ほたる
プロデューサーさんが隠しごと……。
泉さんやマキノさんも、遠慮してるように見える……。
七海
そうなんれすよ……ふたりはなんれも知りたいはずなのに。
ぷっぷくぷー……。
ほたる
でも、隠すというより……見えないようにしてくれてるような。
七海
……見えないように?
ほたる
怖いものが見えないように目をふさいでくれるのは、
やさしい人にしかできないことなんですよ。
ほたる
そうじゃない人は……無理矢理、見せてくるんです。
怖くて、足がすくんじゃうような……目を逸らしたい、現実を。
七海
ほたるちゃん……。
ほたる
あ、えっと……!
だから……プロデューサーさんは、
みんなを守ってくれてるんじゃないかなって……。
七海
……それって、ひとりきりで嫌なものを見てるってことれすか?
ほたる
そう、ですね……本質は、そうなんだと思います。
でもきっと、七海さんにとってそんなのは……
七海
嫌れす!
七海は、暗い場所に潜るなら、一緒に、
どこまでらって行くの……!
ほたる
うん……私も、七海さんの気持ち、わかります。
信頼しているからこそ任せたい想いも、
寄り添いたいっていう想いも、どっちも、あるから。
ほたる
七海さんは、七海さんの想いに……
胸を張っても、いいんじゃないかな。
七海
……決めたっ!
七海、深海へレッツギョーれすっ!!
七海
やっぱり、モヤモヤしたままはダメ。
プロデューサーがひとりきりになっちゃうのも、嫌。
七海
お魚はひとりきりじゃないの。
群れがいて、すみかがあって、海と一緒に生きてるから。
だから七海も、一緒。
七海
もしもそこが、まっくらな深海だったとしても……
潜らないと、未知はわかりません。
七海
七海には、泳ぐためのヒレがある。
だから潜ってみせます、どこまれも……!
泉
マキノさん、ボイスデータありがとう。
Pにも共有して、レッスンメニューの強化に組み込んでもらうよ。
マキノ
こちらこそ、いつも助かるわ。
泉のおかげで効率良く時間が使えて……
七海
ざっぱーーん!
マキノ
ひゃっ!?
七海
プロデューサー、じゃ……ない!
む~、よくこのへんでお電話してるはずなのに~。
マキノ
な、七海……!?
どんなところから現れてるのよ……!
泉
植込みの裏だね。
張り込みにちょうどよさそう、そこ。
マキノ
どうして泉はそう冷静なの……。
っていうか……張り込み?
七海
はいっ!七海は決めたのれす!
プロデューサーの秘密は、一緒に抱える!
そのためなら、深海にも潜ってみせるって!
マキノ
七海、今日はいいの?
プロデューサーの尾行。
七海
そうしたいのはうみうみなんれすけど……
いまは泉さんのパソコンが気になってて。
マキノ
……魚が動く点Pを食べつづけて……巨大化?
えっと……ゲームの方向性、変わった?
泉
……違うの。
気がついたら組んでたんだ。おかしいよね……。
七海
まるで回遊魚れすね……。
七海
わーっ!おっき~パフェ!
お魚のクッキーもとっても可愛いの~♪
ぱくぱくれすよ~!
泉
……これ、カロリー大丈夫?
マキノ
……3人で食べれば許容範囲内よ。
みんな少し疲れが見えるのだから、今日くらい特別に、ね。
マキノ
んっ……
泉・七海・マキノ
美味しい♪
七海
そろそろ……プロデューサーがやってくる
時間のはず、なんれすけど~……。
マキノ
そうね、今日のスケジュール的には……。
あら、七海?
七海
……くー……すや……。
マキノ
舟を漕いでいると思ったら、もう眠りのなかか。
私も、ちょっとだけ……。
泉
あれ、ふたりとも……寝てる?
……七海ちゃん、ここのところいろいろ走り回ってるもんね。
マキノさんは……つられちゃったのかな?
泉
ふふっ……このあいだはお姉ちゃんだったのに。
まるで小さな末っ子と、大きな妹。
いまくらい、ゆっくり休んで。
泉
……口ではどう言ったって、
知りたいことにふたをするなんて、性に合わないよね。
……私も。
泉
どんなプログラムだって、まず書かなきゃ何も動かない。
応えてくれるものも、声を発せないんだから。
最初の一歩がきっと……肝心なんだ。
[泉?]
泉
あ、P。ちょうどよかった。
あのね、話があるの。
泉
Pが……隠してくれていることについて。
[……。]
泉
知らないほうがいいこと、目を逸らしていたほうがいいこと。
そういうのがあるのは、わかってるよ。
私にもあったから。知らなければ幸せだったのかなってこと。
泉
でも、知ってよかったんだ。
大切なものから目を逸らさずに、頑張りたいって、
全部を捧げたいって……前を向けたから。
泉
Pに考えがあるのも、なんとなくわかってる。
けど……たぶん、私たちも知ってたほうがいいことだと思う。
プロデューサー
……プロデューサーにはアイドルを守る義務もあるんだ。
それに君たちは、まだ若い。
泉
うん、まだ子どもだよ。
でも、それで線引きしないで。
私たちはアイドルなんだから、Pと同じ荷物を背負いたい。
泉
求める解は、不確かな安心じゃない。
その先にある、確かな輪郭なんだ。
泉
触れたものがどんなかたちであったとしても……知りたいよ。
先の見えない深みにだって、潜りたい。
泉
それがきっと私たち……
『ファタ・モルガーナ』だから。
[……わかった。]
プロデューサー
頼もしくなったね、泉。
じゃあ、ふたりを起こして……話そうか。
七海
がががーーーん!!!!