August 22, 2024 → August 28, 2024
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-現場近くの道-
忍
……。
ふぅ……。はぁ……。
プロデューサー
見つけた。こんなところにいたんだ。
忍
……プロデューサーさん。
ちょっと……頭冷やすために、会場のまわり走ってきたんだ。
ほら、見て!海がきれいでしょ!
忍
……全力で走ってきちゃった。
気持ちいいよ、
自分自身の、最後の一滴までしぼり尽くした感じ。
忍
頭が真っ白になって、
もう何も考えられない~ってとこまで、
空っぽになってさ。
忍
そうだ、ドリンク、プロデューサーさんも飲む?
あっ、間接キスになっちゃうかっ。
な~んてねっ。えへへ。
忍
……何やってんだろね、アタシ。
みっともなかったよね。
忍
みっともないのがアタシだけど、
さっきのはほんとにみっともなかったな。
プロデューサーさんにも迷惑かけちゃった。
忍
あのダンサーさんにも、あとで謝りにいくよ。
あ~あ。アタシ、おとなげなかったなぁ。
ダンサーからの謝罪の言葉を伝えた……
忍
そっか。
なるほど。
わかったよ。あの人も……悪気があったわけじゃないんだ。
忍
プロデューサーさん。
アタシ、優勝したい。
忍
優勝して、証明したいんだ。
アタシのプロデューサーさんが、最高のプロデューサーさん
だってこと。世界で一番なんだってこと。
プロデューサー
忍……。
忍
でも、アタシ、どうやって勝てばいいんだろうね。
アタシはまだ、こういう種類のコンテストじゃ勝ったことがない。
忍
あの曲の、あの難しいダンスパートだってまだ完成してない。
ううん、完成させるよ、必ず。
でも、完成させるだけじゃたりない。
忍
ただの完成を超えなきゃ……それ以上じゃなきゃ、
あんなエキスパートがごろごろいるコンテストで、
優勝に選ばれるわけがない。
忍
プロデューサーさんはいつも、アタシを信じてくれる。
あんな仕事したい、こんな仕事もいいなって、
アタシがわがままいうたび、それを叶えてくれるよ。
忍
アタシが立派にやり遂げられるかなんて、わからないのにさ。
それでも、アタシを信じて、ぜったいに叶えてくれる。
それは、プロデューサーさんだからだよ。
忍
今回だってそう。
アタシのわがままなのに。
アタシの、アタシひとりの、勝手な夢なのに。
忍
それでも信じてくれるプロデューサーさん、
そんなプロデューサーさんに、
アタシはずっと、応えられてきたのかな。
忍
……プロデューサーさんが思い描くアイドルに……。
プロデューサーさんが……夢見るようなアイドルに……
アタシ……なれてるのかなあ……?
忍
……ぐすっ。
…………ぐすっ。
[一緒に行きたい
場所がある]
忍
行きたい場所……?
プロデューサー
見たい景色がある。
一緒に行こう。
-LIVE会場周辺-
忍
ここは……。
本選の会場になる場所……?
忍
あっ、これ……アタシの応援のノボリ旗だ!横断幕もあるよっ!
わあ、あっちにも……あっちにも……!
ファンのみんなが立ててくれたんだ。
忍
アタシまだ、勝ち抜いてこの会場に立つって決まってないのにさ。
……嬉しいよね。
みんながアタシを、「やれる」って信じてるんだ。
プロデューサー
忍が頑張っているから、
そんな忍を見ているみんなも頑張りたくなる。
忍のために何かがしたいと思う。
プロデューサー
そういう人たちが、忍を追いかけつづけている。
長い間、ずっと、ずっと。
プロデューサー
「努力のアイドル」を……工藤忍というアイドルを、
彼らは自分のアイドルに選んだ。
工藤忍こそが、彼らがただひとり、想いをかけたアイドルなんだ。
プロデューサー
そしてそれは、自分も同じだ。
自分はプロデューサーである前に、
工藤忍のファン第1号なのだから。
忍
プロデューサーさん……。
プロデューサー
忍が努力をする姿は、いつも自分に勇気をくれる。
そんな勇気を、できるだけ多くの人々に、同じように届けたい。
だから自分は、忍をプロデュースしているんだ。そして……。
[後ろを見て]
七海・愛海
忍さんっ……!
プロデューサー
みんながここにいることも、答えじゃないのか?
蓮実
忍ちゃん、けっぱれ♪
忍
……!
蓮実
ふふっ♪私も教えてもらいました。
忍ちゃんたちの故郷の言葉で、
「頑張れ」って意味なんですってね♪
ゆかり
私たちみんな、頑張る忍ちゃんが大好きなんです。
だから、忍ちゃんのお仕事にも、
こうやってついてきちゃうんです♪
愛海
ひとりはだめだよ、忍さんっ。
もっと、こう……あたためあわなきゃ……!
七海
えへへ~。帰ってみんなで、
七海特製、じゃっぱ汁を食べましょう~!
七海
七海が忍さんたちに作ってもらった、あのときの味、
忘れられないのれすよ。いまこそ七海が恩返しするときなのれす!
七海が作るのれすから、味は折り紙つきれすよ~!
忍
……。……みんな……。
めやぐだ。
ありがと。えへへっ。
プロデューサー
忍、きみには人を惹きつける力がある。
それこそまさに、アイドルにとって
いちばん大切な力じゃないのか?
忍
……プロデューサーさん。
アタシ、わかったよ。
アタシが……。
忍
アタシが、このコンテストで勝つ方法……!