August 22, 2024 → August 28, 2024
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忍
真っ白だ……。
ああ……もう何も見えないや。
忍
苦しいとか、つらいとか、そんな感覚もどっかいっちゃった。
自分が立ってるのかどうかも、よくわかんない。
でも……。
忍
アタシは憧れのアイドルとして、いま最高のステージの上にいる。
そして……。
聞こえるんだ。アタシの名前を叫んでる、みんなの声が……!
-数ヶ月前・事務所-
プロデューサー
「スーパースター・ベスト」?
忍
うんっ。
あの伝説の歌番組が復活するんだよっ!
もう聞いてるよね、プロデューサーさんもっ!
ゆかり
その番組なら、私も昔、観たことがあります。
青森でも放送していましたよね。
母の部屋で、隠れてふたりでこっそり……♪
愛海
あたしもよくお留守番しながら観てたな~。
今週のベスト・マウンテン……じゃなかった、
ベスト・テンに入った歌を、ナマの迫力でたっぷりと……うひひ♪
七海
今日は忍さん、いつもよりびちびちしてますね~!
忍
へへ~!
ね、プロデューサーさんっ。アタシ、この番組に出たいんだ!
忍
なんたって子どもの頃、毎週TVにかじりついてたくらいだもんっ。
この番組がなかったら、アイドルに憧れなかったかもしれない。
忍
アタシにとっては、「いまのアタシを作った」って
言ってもいいくらいの番組なんだよ!
蓮実
忍ちゃんもなんですね。私にとっても、
憧れのメドレーがいっぱい詰まったメモリーなんです♪
前に一度きりの復刻があったとき、出演させてもらったりもして。
蓮実
もっと昔へさかのぼれば、あのトップアイドルたちも
出演していた、まさに伝説の番組。
ブラウン管の中の天使たちは、とってもキラキラしていました♪
忍
うん……!
キラキラしてた……!本当に……キラキラしてたんだよっ……!
プロデューサー
話はわかった。
ただ、忍も知っていると思うけど、
番組名は同じでも、中身は現代風にリニューアルされたものだ。
プロデューサー
ベストソングを発表していく歌番組ではなく、
ベストにふさわしいスーパースターを選ぶためのもの……。
いわば、スーパースターを決めるコンテスト番組だ。
プロデューサー
シンガー、ダンサー、パフォーマー、コメディアン……。
多彩な出場者のなかから、たったひとりの優勝者を決める。
甘くはないものになると思うけど……。
忍
上等っ!アタシの挑戦する仕事が甘かったことなんて、
これまで一度もないもんねっ。
今回だって、めいっぱい努力してぶつかるだけ!
蓮実
ふふっ、さすがは忍ちゃん流の乙女心♪
「努力」といえば、やっぱり忍ちゃんですっ♪
プロデューサー
わかった。必ず出られるよう手配するから、任せてほしい。
ちなみに、エントリーの肩書きはどうする?
掴みとして大切なものになるけど。
忍
もちろん、「アイドル」でいくよっ!
忍
アイドルとして、あの伝説の番組で、
アタシは誰より輝いてみせるっ……!
-番組収録・初日-
七海
わあ、すごい群れなのれすね~!
イワシもびっくりなのれす……!
みんな参加者なのれしょうか~?
忍
ちっちっち。七海ちゃん。あたりまえだよ。
東京のTV局だもん!
忍
……そうだよ。いまアタシたちがいるのはさ、東京なんだよ。
ゆかり
忍ちゃんの目、どこか遠くを見ているようですね。
たどってきたはるかな道のりを、振り返っているみたいな。
愛海
そうだね、そうだよねっ。
東京のお山は、色とりどりだよっ!名所百景だよっ!
蓮実
愛海ちゃんの目も、
私たちと違うところを見ているみたいですね……。
新人記者
あ、あのっ……!あ、アイドルの工藤忍さんですよねっ。
今日、「スーパースター・ベスト」の一次審査に出場される……。
……あっ。
新人記者
えっと、あなたが忍さんのプロデューサーさんでしょうか?
私、雑誌記者の……こういう者です。
こ、このたび、忍さんのことも記事にさせていただきたくっ。
七海
ガチガチなのれすね。オニオコゼみたいなのれす。
愛海
もっとさっ、やわらか~く、ほぐしたほうがいいよ~♪
プロデューサー
取材でしたら、どうぞ。
忍さえよければ。
忍
もちろんっ。記者さん、もしかして東京だからって緊張してます?
アタシになんでも聞いていいですよっ。
そうだ、最先端のファッションの話とかっ?
新人記者
あ、ああ、えっとですね……。
聞きたいのは、まずは忍さんが今回、
この曲で選考に挑もうとした理由で……。
新人記者
そのっ、
かなり難しいダンスパートもあることで、有名な曲ですけど……?
忍
そうですね。
まず、この番組はアタシにとって、思い出の深い番組なんだ。
過去のアタシに、アイドルっていう夢をくれた番組。
忍
だからこそ、現代的な歌で挑戦しようと思ったんです。
あの頃のアイドルたちが、あの頃のアタシにくれたみたいに、
アタシは今のアイドルとして、今の人々に夢を与えたいから!
新人記者
なるほど……ふむふむ……ありがとうございます!
では、あともうひとつ、よろしいでしょうか?
新人記者
工藤忍さん。
あなたにとっての「努力」というものについて……。